日本共産党 上野たつや
税金の使い方を改め、住民サービスの向上に(11/2)
10月9日から始まった「2019年度 決算特別委員会」が、本日で終了しました。
特別委員会については、井坂団長と2人で臨みました。
共産党の持ち時間は17分と短時間のため、全てを網羅的には行えませんが、ギュッと絞っての質疑でした。
例年「財源不足だ。」と知事は発信していますが、実質黒字は毎年続いている状況であり、全国と比較すると財政力指数は3位の状況です。
県民の切実な願いにこたえるためにも、財源の工夫で、もっと要望に応えることができることを主張し、提案を行いながら、決算については反対をしました。

以下、討論の内容です。(文章長いです!!)
日本共産党の上野たつやです。
共産党神奈川県議団を代表して、日程第1「認第1号 令和元年度神奈川県公営企業決算」と、日程第2「認第2号 令和元年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算」の認定について、反対をする立場から、意見、要望を述べます。
2019年度決算総額は、2会計合計で、約3兆8,667億円であり、翌年度繰り越し分を差し引いた実質収支額は、一般会計約36億円、特別会計約137億円であり、合計約174億円の黒字となりました。
実質黒字は毎年続いている状況であり、全国と比較すると財政力指数は3位です。
この間、財源不足を強調し、県民の切実な願いにこたえていませんが、財源の工夫で、もっと要望に応えることができると思います。
また、臨時財政対策債の償還が基準財政需要額より216億円も多くなっていることは、一般施策に使えるお金を臨時財政対策債の早期の償還に使っていたことになります。財源が厳しいと言われる中、基準財政需要額よりも多く県債管理基金に積み立てることについては、県民にそれだけのメリットを示す必要があると考えますが、メリットは特段ないとの答弁でした。
臨時財政対策債は、国が償還財源に責任を持つとされている以上、その財源に合わせて償還を考えれば良いので、現在の償還方法を見直し、より県民の要望に応える財源を確保するべきです。県債管理基金に多く積み増している分については、繰り替え運用の活用なども検討するべきと考えます。
このような基本的視点にたって、認第1号、認第2号について、主な反対理由を述べます。
まず、「認第1号 令和元年度神奈川県公営企業決算」についてです。
2019年度は箱根地区包括委託 第2期の初年度でした。第2期の受託事業者、箱根水道パートナーズでは、「施設管理、運転監視、全体的管理の業務」をヴェオリア・ジェネッツが行っていることから、結果として世界的な水メジャー企業に日本での水道事業の運営実績づくりをさせる結果となっています。命を守る水道が、水ビジネス多国籍企業の営利の対象とされないためにも、包括委託ではなく県営水道直営に戻すべきです。
また、受水費については、営業費用に対する割合が一番大きいことからも収益的収支にも大きな影響を及ぼすと考えます。県内の市から使用料の値下げを求められていることからも、自己水源と企業団の水のバランスを取りつつ、受水費を下げるよう求めたいと思います。
次に、「認第2号 令和元年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算」についてです。
まずヘルスケアニューフロンティア政策についてですが、
この施策が柱としている未病の改善は、未病産業の支援が中心であり、県民の医療と健康を支えるものとはなっていません。商品やサービスの購入を通じなければ還元されない仕組みではなく、公衆衛生部門との連携強化や経済格差にかかわりなく、広く県民がその恩恵を受けられるような仕組みをつくるべきです。
特に、特定健診、特定保健指導の実施率について、市町村国保の実施状況が全国で46位、47位と一番低い状況であることが質疑を通して明らかとなりました。未病関連事業を推進するのであれば、こういった課題と向き合う必要があると思いますし、未病プロジェクトのKPIに、特定健診特定保健指導などの項目が一つもない事は問題だと指摘しておきたいと思います。
また、2019年度、受診率をあげるために行われた、広告医学を活用した映画館でのプロモーション事業では、特定健診の受診に直接繋がっておらず、効果が出ていません。
その他、未病改善事業でマイ未病カルテなどの取組をしていますが、自らの体の状態を医学的データに基づいて知ることができるのは、健康診断です。未病の改善というのであれば、健康診断などを受ける人の人数を増やすこと。そのために特定健診や特定保健指導を無料にする取組や対象者への粘り強く受診を促す努力が必要です。県としてもっと効果的で市町村を応援するような取組みと財政的な支援を求めます。
次に、村岡・深沢地区拠点づくり実現化推進事業費についてです。
藤沢市村岡地区に新駅を設置する費用は、JRの試算で約160億円以上とされ、県の負担はその3割とのことです。県、藤沢市、鎌倉市の一体で進めるまちづくりにも多額の費用が投入されます。また、大船駅と藤沢駅間の走行時間は約4分、その間に2分で到着する駅を設置することが有用なのかと必要性に疑問を持ち、新駅設置と周辺まちづくりに反対している住民も多くいます。県の姿勢を改める必要があると考えます。
次に、セレクト神奈川NEXTなどの企業誘致施策についてです。
この誘致策については、助成額に対する経済的効果が明らかではない上に、誘致条件設定が県民の雇用創出につながる仕組みが保障されていません。また、条件が合えばIR施設内の企業も対象になることから、カジノ誘致の支援につながる事業は認めることが出来ません。企業誘致策の見直しを求めます。
次に、リニア中央新幹線建設についてです。
リニア中央新幹線の建設によって、住民は移転を強いられ、長い間築いてきた生活基盤を奪われ、保全すべき水源林の一部を失い、水脈も変えられ、深刻な自然破壊と生活破壊を強いられていますので、リニア中央新幹線の推進はやめるべきです。
次に、幼児教育・保育の無償化についてです。
昨年の10月から「幼児教育・保育の無償化」が始まりましたが、幼稚園類似施設や外国人学校は対象外となっています。県は、これまでも、朝鮮学園に通う子どもたちへの学費補助を打ち切るなど、差別を助長するような対応を行っています。この姿勢を改め、子どもの権利条約に基づき、全ての子どもたちが、どの施設でも等しく支援を受けることができるようにするべきです。
次に、国民健康保険事業会計についてです。
国民健康保険事業については、保険料の徴収強化を自治体間で競わせるのではなく、医療機会を保障する社会保障制度として確立すべきです。そのためには、国庫負担を大きく増額するとともに、均等割の廃止など、重過ぎる保険料負担に対し抜本的な改善が必要です。
また、他の健康保険と比較しても、まだまだ高い国民健康保険料を下げることは、誰もが安心して医療を受けることができる施策として、重要な取り組みだと考えますので、保険料が下がるような取り組みを求めたいと思います。
以上、述べてきましたように、私たちはこのような医療や健康の産業化、大型開発事業などへの投資ではなく、もっと県民生活に直結したところに税金を使うよう転換すべきだと考えます。
次に、決算審査で明らかになった県政運営に関わる問題を何点か取り上げます。
(第2款 総務費)
まず、働き方改革についてです。
2018年度から、方針に基づいて取り組まれており、長時間労働、年次有給休暇、職員の意識に関する目標など様々な指標がありますが、前年度と比べて2019年度は目標が達成されておりませんでした。
目標達成に向けて、実効性のある対応を求めたいと思います。
(第3款 環境費)
次に、省エネ診断事業についてです。
今後、気候変動に対応していくためには、エネルギーを再生可能エネルギーにシフトしていくと共に、電力使用を削減することが必要だと考えています。
「かながわ気候非常事態宣言」を実効性のあるものにしていくためにも、省エネ診断事業は必要な施策と考えますので、事業所の診断受付件数を増やしていくことと同時に、事業者が要望している省エネ推進のための設備投資への補助制度の創設を求めます。
(第4款 民生費)
次に、待機児童対策についてです。
2018年度までに実現できなかった待機児童0人を実現するためには、現在の施策の拡充と発展が必要です。
また、保育所を増設しても、子どもを受け入れる保育士が不足しては意味がありません。保育士が数年で辞めることなく、長く働き続けられるような処遇の抜本的改善も併せて求めます。
(第6款 労働費)
次に、労働委員会の履行調査についてです。
和解後の後追い調査、指導について、労働法に規定がないからできないとの答弁でしたが、労働委員会の専門性が発揮されて解決に至った事案を後追い調査、指導することは、県内職場の労使関係をより良いものにするためにはやはり必要なことだと考えています。
国に法律の改正を求めることと同時に、県労委に関与した労働組合の相談に積極的に応じる相談体制の確立、それに伴う体制の強化も併せて求めたいと思います。
(第9款 土木費)
次に、河川整備についてです。
社会資本整備総合交付金等を受けるために、国に出していた5年間の計画は、2019年度が最終年度でしたが、計画で出していた全体事業費に対する進捗状況は72%であることがわかりました。
また、次の新たな計画については、今回終わらなかった分も含めて計画を立てているとのことです。この状況が続けば、計画がどんどん後ろ倒しになってしまい、河川整備が遅れてしまいます。
国に計画を出しているわけですから、その計画に見合った予算措置を行い、国への交付金の増額を求めると同時に、県単独の予算の増額を行い、河川整備を今まで以上に推進していただきたいと思います。
(第10款 警察費)
次に、交番の整備と統廃合についてです。
これまでも、交番の統合や廃止がされ、連絡所になるか、もしくは売却・除却が行われてきました。また、今年度から始まる交番等整備基本計画では、2030年までに、70もの交番を廃止等にしていく方向です。
警察がストーカーやDV、特殊詐欺などこれまで以上に対応しなければいけない事案が増えています。そんな中で交番などが少なることについては、住民から不安の声が寄せられることがありますので、ぜひ、住民の理解が得られるように進めてほしいと思います。
(第11款 教育費)
次に、教員の働き方改革の推進についてです。
労働時間管理について、これまで管理職が現認していたものが、個々のパソコンの使用状況などによる客観的把握に、今年度から変更されることが決まった事は重要と考えます。
労働安全衛生法の関係では、2019年度に産業医の面接指導が行われたのが、79人と大変多い人数であることが分かりました。教員の長時間労働の解消には、少人数学級の推進や教員の定数増、業務内容の改善など、抜本的な改善が必要と考えていますので早急な対応を求めたいと思います。
(特 県営住宅管理事業会計)
次に、県営住宅管理事業会計についてです。
健康団地推進計画において、個別改善を今年度までで終了し、建て替えを推進していくとの事ですが、全ての団地を建て替える計画ではありませんから、計画の対象となっていない団地について、長寿命化を図るためにも維持管理は大変重要です。
住宅団地維持整備費については、引き続き予算の増額を求めたいと思います。
これらの意見、要望を今後の予算編成や施策に生かすことを望み、日程第1「認第1号 令和元年度神奈川県公営企業決算」と、日程第2「認第2号 令和元年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算」の認定について反対をし、意見発表を終わります。